今日という日は残りの人生の最初の日

人生を充実させるコツは、より多くのものを好きになること。

味わった人しか分からないわよね ―『猛毒』を聴いた感想

こんにちは、アンです。

いよいよ舞台が近づいてきたので暑さに耐えられるぐらい髪をバッサリ切ってきました。
荷造りとか交通ルートの確認とか色々やることはあるけど、その前に今日の曲のレビューを書いてからにする。
 

■猛毒 feat.ど~ぱみん

▼Lyrics&Music:ど~ぱみん様

VOCALOID MV

Illustカトレア様
Vocal初音ミク
 
田口淳之介 MV

Hair&Make原みさと様
StylistKEITA UCHIDA様
CostumeACUOD by CHANU様
 

■田口さんによるレビュー・制作過程

・このアルバムのトラックランキングナンバー1だと思うぐらいトラックが好き。
・MVも「猛毒」っぽい毒々しさを感じるものになっている。
・対談は蝉がお鳴きになっている外から参加されたど~ぱみんさん。
(ここ前回のアサイウミさんの雨音のくだり思い出してめちゃくちゃ笑った)
・ご本人曰く、普段はコソコソと楽曲を作っている。
 田口さん「コソコソって 笑」
・今回の企画の存在を知ったのは、前回参加されたsavastiさんとクラブハウスで会話していた時。また、最近交流のある絵師さんからも田口さんの企画の話を聞いて応募したら見事に当選。
・savastiさんとはエレクトロでアンダーグラウンドな曲のスタイルが近いので意気投合していた。
・今回はボカロ版MVと実写版MVの両方を公開するので、折角だから企画を教えてくれた絵師さんにMVの絵をお願いすることに。
 元々とても絵の上手い方だが、今回の楽曲にピッタリ嵌まる絵を描いてくださった。
・田口さん版のMVは7/14にiTunesにてリリースされるが、ボカロ版MVは7/21からアルバム曲順に毎日公開。この時点の田口さんはまだ「猛毒」のボカロ版MVを観てない。
 しかしボカロ版のMV公開についてまだ打合せしていなかった模様。
 コウさん「皆さんどうします?プレミア公開します?」
 水野さん「どうしましょうか?田口さん、統一した方がいいですか?」
(以下、ボカロPさん達と田口さんの業務連絡が続く。ここでやるの 笑)
 曲名が先行した状態で公開するのが初めてなので新鮮味を感じるボカロPさん達。
 

■ど~ぱみんさんのこと

・「Liberty」や「蚕の冠」など、エレクトロ系のキャッチーな曲調でイメージカラーでもある紫らしさをメロディーとして表現される。
 (告知Twitter紹介文より抜粋)
・まだ若いのにスキルの育て方がエグい。おそらく今回の参加ボカロPでは最年少。
・ど~ぱみんさんの語彙が好き。「そんな言葉よく知ってんね」と思う。
 (リリース記念ツイキャスより)
 

■ど~ぱみんさんのオススメ楽曲

▼蚕の冠

 

田口淳之介ver.MVについて

・英語版タイトルは訳すのが難しいので、音楽配信サイトでは「MO‐DOKU」にした。
 でも実写版MVでは最初に「DEADLY POISON」という訳が出てくる。
(調べたら「死に至る毒」っていう意味になるみたいです)
・夜の23時から撮影開始。全体的に暗い中で撮影したので曲のダークな部分が表現されている。
・撮影場所は渋谷。
(タイニーバニー踊ってみたと同じ場所だ!と皆初見で分かったと思います)
・衣装は安心と信頼のACUOD by CHANUさん。
 新しいアー写、7月の月イチライブで着た衣装でもある。
(ライブの8カメアングルで見た時、改めて世界一似合うって感じた)
・ラスサビのグルグル回る映像は、スタビライザー(手ブレ防止)を付けたカメラで撮っている。
・曲中のダンスは振付師さんがついている。振り覚えに要した時間は3時間弱ぐらい。
(「早!」って普通は思いますが、田口さんにしては3時間ってまあまあ時間かかった方じゃないかな)
 

■総括

リリース発表で曲名を見た時、「あ、これ田口さんっぽくないと見せかけて、実際はめちゃくちゃ田口さんに合うやつだな?」という妙な勘が働いたのを覚えています。
前作ジュウゴノシンゾウに「祈るほど後悔」という曲がありましてね…
全14曲の中の闇属性ともいえるその曲が彼の歌声・ダンスと驚くほどの親和性を魅せて以来、「田口さんの歌う闇属性曲における無限の可能性について」をずっと考えておりました。
 
そうしたらなんと、あのsavastiさんとど~ぱみんさんがお知り合いだったって言うじゃないですか!
聞いて驚きつつも、「そう言われたらそんな気もする」みたいな納得感もあり。
何にせよ、そのお二人が繋がってたおかげでプロジェクトに参加いただけたのは良かったなぁ、って素直に思えます。
 
リリース直後、「皆どの曲好きー?」と田口さんがファンに問いかけた時、各々の好みの曲が割れる中、比較的「猛毒」のコメントが多かったような気がするんですよね。
あの時はまだiTunesに歌詞も出てなかったし、一体何がファンにそんなに刺さったのか?というと…
「これ、絶対にダンス映えする曲じゃん!」っていうのが曲調から読み取れたからに違いありません。
冒頭は明らかに音ハメしやすいメロディーだし、間奏部分の毒が回った時の鼓動みたいなビートなんてもう、もう…(ちなみにティーザーではダンスシーンほんの一瞬しか映ってないです)
 
さて、そんな「音作り」の部分がファンの心に突き刺さった一曲ですが、リリックの方はご本人から「百合曲」であるという超具体的なヒントが出ていました。(ご本人のTwitterより)
歌詞に「百合」を感じるワードは入っていないので、驚いた方も多いんじゃないでしょうか。
しかしボカロ版のMVは確かに、完全なる「百合」の絵でした。
 
ジュウゴノシンゾウにも「牡丹」に繋がる曲があり、その時は思わず花言葉を調べたので、これは今回も調べざるをえない。
 
――ユリ全般の花言葉は、「純粋」です。
また、そのほかにもユリには「無垢」・「威厳」という花言葉もつけられています。

 これは「牡丹」の花言葉と非常によく似ていますね。

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」って言葉があるぐらいですから、女性の美しさを象徴する花の一つであることが分かります。
 
――白百合は純潔と清らかさの象徴とされていて、ウエディングなどで使われることが多い花ですが、その反面では、死や悩みのシンボルとも言われていて、お葬式などにもよく使われています。
それは、白百合だけに関わらず、百合全体の花言葉に「」という意味が含まれているからです。

一方で、こういった少し怖い意味を含んだ花でもあるようです。
確かに「首折れる」というイメージから、お見舞いに持って行ったりするのは良くない…って言いますね。
 
――ユリ中毒では、急性の腎障害を引き起こします。
少しかじったり食べたりしただけで、重度の急性腎不全になり、数日で亡くなってしまうこともあります。
ユリのどの部位も猫にとって毒性があり、花弁、葉、茎だけでなく、花粉やおしべ、ユリ根などでも中毒になります。
植物だけではなく、ユリを活けていた花瓶の水などでも中毒が起こるといわれています。

 上のは人間ではなく猫ちゃんにとっての話なんですが、百合は強い毒性を持っているらしいです。

これを見ると少しだけ曲名とリンクしてきました。
まとめると、「とても美しいけど場合によっては死をもたらす花」ということになる。
これだけで曲の雰囲気がグッと掴めてくるので、自らヒントを出していただいたど~ぱみんさんに感謝。
 
…って、ここまで読んで「違う、そうじゃないだろ」って思う方絶対いると思うし、自分でもこれじゃ不十分だと思う。分かってます。
多分、「百合」と聞いて大半の人が想像したのはこっちの方ですよね。
 
――同人用語として百合というと『女性同士の関係』のことをいいます。男性同士の関係を描くジャンルをBL(ボーイズラブ)と呼ぶのに対して、『GL(ガールズラブ)』と呼ばれることもあるジャンルです。

 正直言って「言われなければ分からない」ような隠れテーマだと思うんですけど、言われてみればこの曲の歌詞って女性目線だなぁってやっと分かった次第です。

『もうつまらないわ』『ベルベットのドレスが誘う』『どうでもいいわそんな事』って歌詞を、男性が歌ってこうも自然なところに表現力の向上を感じました。
 
最初から最後まで綺麗に韻の踏まれた歌詞は、文字で読むとものすごく難解です。
おそらく相当な読解力がないとピンポイントに考察することは不可能なんじゃなかろうか。
もし、敢えて私がこの曲にキャプションをつけるとしたら、抜粋したいのはこれかな。
 
『こんな素敵な夢誰にもやんない』
 「やらない」でも「あげない」でもなく「やんない」っていう言い方がすごく好きなフレーズですね。
これ、「百合曲」ということを念頭に置いたとして、どっちの視点を表す言葉なんだろう。
「猛毒に侵された」彼女なのか、「猛毒を持った」彼女なのか。
個人的には、その両方だったら面白いんだけどな。
「こんな死に至るような快楽誰にもやんない」でも、「この純潔は誰にもやんない」でも、どっちでもゾクゾクする。
 
『猛毒』って、知らないうちに盛られることはあっても、自分から侵されにいくことってないと思うんですよ。
でも、不意に全身に回った時の感覚は実際味わった本人にしか分からないし、ひょっとしたら「誰にもやんない」なんて思うほど素敵な夢なのかも。(ちょっと何言ってるか分からない)
要は「味わった者にしか分からない」っていう禁断ともいえる感情を全面的に感じ取れたってことです。
 
自分でも引きそうなぐらい狂気を感じる締めとなってしまいましたが、ライブの1曲目でこの曲を歌う彼を見た時は「こんな素敵な夢誰にもやんない」って確かにそう思えた、そんな楽曲でした。