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15人目の鳴き声 ―ジュウゴノシンゾウを推したいだけのレビュー

お久しぶりです、アンです。

最近ライブやらツイキャスやらでオタ活が非常に充実していますね。
11月になってからはご新規さんも多いので、これを機にジュウゴノシンゾウの総まとめ的なレビューを書きたいと思います。
初見さんにもたくさん聴いてもらえるといいな。
 

そもそも「ジュウゴノシンゾウ」って何?

田口淳之介×ボカロP総勢14名とのコラボアルバムです。
選び抜かれた14人のボカロP+田口さんで「ジュウゴノシンゾウ」です。
ネットを通して音楽活動を行うボカロPさんと共に制作した、渾身の一作。
 

▼【ジュウゴノシンゾウ】オフィシャルティーザー / 田口淳之介【Heart JUNction】

 

▼【タグラブ】”TA”Good Night LIVE vol.15 -ジュウゴノシンゾウ- 【田口淳之介

 

田口さんのコメント抜粋(タグラブより)

・従来、アーティストからボカロPさんに楽曲制作を依頼するというのは実はよくある話。その形式も勿論考えたが、自分としてはニコニコ動画特有の「二次創作の文化」が素晴らしいと思ったので、権利や縛りに囚われず皆が共有できるようなコラボにしたいと思った。
・楽曲というものには色々と難しい制約があり、権利の都合上歌えない、ということもある。(田口さんが過去に出した曲は権利の都合上歌えないらしい) 
 今回は「縛りは一切なくやりましょう!」というスタンスで、ボカロバージョンとの二方向での制作にした。
「音楽は独占するものじゃない」と思うので、今後もこの形でやっていきたい。
 水彩画Pさん「今の時代にすごくあったやり方です」
・制作にあたってボカロPの方々に公募を募ったところ、たくさんの方から応募して頂けた。このコラボをきっかけに「自分の音楽を聴いてもらいたい」という熱いメッセージを頂いたので、その気持ちを貰ったからには、と真剣にボカロPさん達の音楽を聴きまくった。
・集まったボカロPさん達の楽曲は個性が強く、ジャンルも様々。
・アルバム制作にあたってはテーマを決めることが多いが、今回は敢えてテーマを取っ払ったものにしようと思った。「とにかくボカロPさんの才能を見せつけたい」という思いで、様々なジャンルを織り交ぜたものとして作った。
・ボカロPさんと直接やり取りをして、会える方とは直接お会いして、一から作るということに凄く達成感を感じた。
・事務所にいた頃は、周りが全てを用意してくれて、自分は身一つで現場に入るだけで良かった。「東京ドームに俺は立ってたんだ」と思うと、事務所の凄い土台と発信力が身に染みた。
・だからこそ、自分の力でどういうことができるか、どういう風になりたいか考えている。自分は今とてもフラットな位置にいるけど、皆がいてくれることで確実に階段を1段、2段と上がっていっていると思う。
 水彩画Pさん「もう一度、東京ドーム目指しましょう、全力でフォローします」
・「ジュウゴノシンゾウ」と言うタイトルは元々は「Fifteen’s heart」で考えていた。でもボカロは日本を代表するカルチャーなので、日本語のタイトルにしてジャケットも日本の日の丸をイメージした白赤にした。
 
上記動画にて、ジュウゴノシンゾウにかけた想いを熱く語る田口さん。
参加されたボカロPさんも何人かの方がチャットに参加してくださいました。
その動画を元に各楽曲の「エモポイント」を私のレビューを含めて纏めてみます!
 

What Color  feat.オゾン

田口:ラスサビの「僕が僕であることの意味を」のアタックがついているところが好き。アルバムの一発目の曲に相応しく、自分のメッセージとして問いかけたい曲。皆にも自分自身に問いかけて感じて欲しい。
 

MVの少年が印象的。歌詞も変に難しい表現がなく、良い意味で若い方が作った曲なんだと分かる。
田口さんオリジナルの音サビの振り付けに毎回魅入る。
 

FEEL THE LIGHT feat.SPACELECTRO 

 

EDMというジャンルをこの楽曲で初めて知った。(音楽素人な故)
ジュウゴノシンゾウで唯一作詞者と作曲者が異なる楽曲です。
 

祈るほど後悔 feat.savasti

田口:サビの部分がパワフルに歌おうと思える曲。「嫌になって幸せになって~」の部分はとにかく声にパワーを出したかった。savastiさんが仕上げてくれたミックスを聴いて「やっぱり良いな」と思った。「厭厭厭」の部分は如何にもボカロっぽい感じ。
 

savastiさんの少し闇を感じる歌詞も、田口さんのダンスパフォーマンスとガツンとマッチする意外性が楽しい。
早くYoutubeにダンス公開して欲しいなー。
 

DIDA DIDA DIDA feat.左手

田口:サビ部分で皆が踊れる簡単な振り付けを考えたのでライブでは楽しんで欲しい。
 

ジュウゴノシンゾウに参加したボカロPさん達からの人気、堂々第一位の曲です。
ライブではみんな一緒に踊りましょう。
 

サタデーナイトクルージング feat.R Sound Design

田口:全体的に声を張る部分も殆どなく、チルな雰囲気。隣に座ってドライブしているような感じ。
 

仕事帰りの少し気怠い、でも心地よいmellowな雰囲気を感じられる曲です。
ドライブの車窓を撮っただけの映像だけでもMVとしてちゃんと成立してる。
 

Miss you feat.shino

田口:転調サビが聴きどころ。shinoさんは転調大好き芸人(笑)
shinoさん:転調サビ含めサビの泣きメロでがっつり聴き手の感情持っていきたいなっていうのはありますね~
 

田口ファンから一番人気の曲だと思う。(多分)
最初はスタンドマイクでのパフォーマンスがデフォでしたが、最近ダンスパフォーマンスも出来ました。TikTok見てね。
 

路地裏探訪 feat.るりまる

るりまるさん:路地裏探訪のエモポイントはドロップからの軽快なジャズ調に戻るとこですね~
田口:トラックの作り方の発想が自分の頭にはなかったので、それを形にするるりまるさんは凄いよね。歌ってみると難しいけど実際歌えるとすごく気持ちいい!「煩い」って漢字が読めなくて「ウザい」って読んじゃったw
 

歌い方が難しい曲ですが、バンドスタイルだったりダンスだったり魅せ方に無限の可能性のある楽曲です。
 

慣性スケーター feat.シシド

田口:今までギターサウンドは全然やってなかったので、そういう部分で新鮮さを感じた。「バッテンばっかつけれらても」の部分はエモポイント。
シシドさん:慣性スケーターの個人的エモポイントは2番Aメロ前のビャーという変な音のギターです。
田口:あの後の『パッとしない』っていう半濁音も小切れいいよね。
 

シシドさんは普段のツイートを見る限り凄く優しく繊細な方ですが、慣性スケーターのようなハードな曲を作っているというギャップがいいですね。
 

閉花予想 feat.アサイウミ


皆さんよく間違えられますが、「開花予想」ではなく「閉花予想」です。ハッピーエンドよりバッドエンドが好きなアサイウミさんの世界観が溢れる爽やか切ないピアノロック。

 

stay with me feat.平田義久

 

ジュウゴノシンゾウの制作のきっかけともなった平田義久さんのMellowシリーズの一つとして組み込まれた楽曲。
ライブではいつも田口さんの隣にミクさんの幻覚が見える。
 

Cc:京都遊郭にて、空蝉。 feat.水彩画P

田口:Youtubeの動画の伸びが一番いい曲。カッコいいMVになったMVは水彩画Pさんのアトリエで撮って、編集も水彩画Pさんが全て行った。
水彩画Pさん:空蝉のエモポイントは田口君の流れるヘアセットです。
 

水彩画Pさんのコメントに最初は笑ったけど、唯一絵的な部分に触れてるのが興味深い。
唯一実写MVとして制作できた方だからこそのコメントですね。
 

ニライカナイ feat.しぇろ二期

 

配信ライブではギフト芸が定着した曲。
初見さんもこの曲が流れたらとりあえず魚ギフト降らすか魚絵文字のコメントしとけばいいです。
ボカロ版と田口さん版でアレンジが大きく違うのも特徴。
 

フライアウト feat.ノイ

田口:二番のAメロの「安全なんて言っちゃって」の部分は本当にエモい。そこをライブでどう魅せるかなんて考えてニヤニヤしちゃう(笑)その後のギターの「キーン!」って音と、MVの色が反転するところが良い。
ノイさん:フライアウトのラスサビ頭の一瞬ブレイクが個人的エモです!
 

バンドスタイルで映える曲だと思います。毎回ライブのセトリに入ってるので田口さんの推し曲だと思う。
この曲もノイさんの優しく控えめな性格と楽曲の力強さとのギャップが良いです。
 

ペタルダンス feat.ジグ

田口:サビの部分の「強がって生きてたい」の部分はキーが高くて難しい。ファルセットにすることも頭をよぎったけど、ここは地声でしっかり伝えた方が曲としての印象がすごく良くなると思ったので頑張った。自分の思いにシンクロする部分が多かった楽曲。
ノイさん:ペタルダンスほんとに大好きです
 

『未来は変えられないけど過去は変えられる』という歌詞の意味を知った時は感銘を受けました。
この曲が流れるとライブのラストであるということをいつも感じる。
 

■総括

タグラブの中で、「孔雀の求愛のアクションは、羽を広げるところではなく『鳴き声』である」と話していましたね。
アーティストは鳴きによって表現をするものだということでした。
そ、そうなのか…。美しい羽を持つのは雄の孔雀だということぐらいは知ってましたが、それは知らなかった。
 
ノイさん:ぼくらボカロPは作詞が鳴きという感じですかね~
田口:そうですよね、どんな鳴き方もあるわけじゃないですか。歌詞に込めた想いをVOCALOIDに歌わせるというところもまた、良いですよね。シンセサイザーとして、楽器としての声かもしれないけど、彼ら(ボカロPさん)は確実に鳴いてますよVOCALOIDの曲を聴いて、心を動かしていくことがボカロPさんはできているわけですから。

冒頭でも話した通り、ジュウゴノシンゾウは14人のボカロPさんと、田口さんを足した総勢15人でのアルバムです。

楽曲制作を担当したボカロPさん14人に対して、15人目の田口さんの役割は何か?
それは、作詞者たちの思いを声に出して歌うことですよね。
中には「人間に歌ってもらう曲を作るのは初めて」というボカロPさんもいらっしゃいました。
正に、「鳴き」での表現を仰せつかったというわけです。
 
しかしながら、私がここ一番で彼の「鳴き」を感じたのは、ジュウゴノシンゾウLIVEのアンコールで歌った「Voices」なんですよね。
 


この楽曲は田口さんが例の一件の後初めて披露した復帰曲です。
公開されたときは、嬉しさの反面複雑さを感じた人も多かったと思います。
楽曲もダンスも素晴らしいのだけど、まだどこか踏み出せない気持ちがあったのが正直なところ。
 
でも、8月2日にアンコールでバンドスタイルで魅せたVoicesには彼の心からの鳴き声を感じました。
それはきっと11月の復帰からそれまでの間に、ジュウゴノシンゾウを通して彼の思いをたくさん聞くことができたから。
「自分の本当の声」という歌詞が入った曲でそれを一番感じられたというのもまた感慨深いですね。
 
あれから1年たった今、あの時とはまた違う気持ちで、「15人目」である彼の「鳴き声」を聴ける人が多いといいなと思います。