今日という日は残りの人生の最初の日

人生を充実させるコツは、より多くのものを好きになること。

優しいだけの君じゃなくても ―『Miss you』を聴いた感想

久々に夜に書いてます。本当ならこの時間お仕事だけどトラブル続きの毎日の久々の休息。

甘い炭酸と塩辛いツマミをお共に書きます。
レビューっていうかただの公式のまとめなんだけどこういうのが書いてて面白い。
 

■Miss you feat.shino

▼Lyric&Music:shino様 
Illust7716様
Vocal(ボカロ版):初音ミク
 
VOCALOID Ver.

 
▼田口さん歌唱Ver.

 
▼ボカロP対談(shino×水彩画P× 田口淳之介

 
▼”TA”Good Night LIVE vol.6 -Miss you-

 

■田口さんによるレビュー

・全曲をティーザー公開してから「Miss you」へのコメントや反応が多い印象。
・まずはやっぱりサビが聴きどころ。伸びが良くて歌っていて気持ち良い。
・皆の耳に馴染みやすい王道Jポップの路線を狙おうと打合せでも話した。
・EDMやロック等ジャンルが様々ある中、ポップスをメインにされている方がいなかったので他のPさんとも被らないように敢えて王道を攻めていった。
・全体的に音域が広い。Aメロは低い所から入って、どんどん高くなっていくのがJポップらしい。トップの部分でキー調整をしたが、そうするとAメロは物凄く低くなる。自分が今出せる音域をフルに使った曲だと思う。
・最後の「僕じゃ幸せにできない」は切なさの象徴。でもその最終サビの転調には切ない中にも爽やかさがある。
・一番最後の歌詞にはその先の未来を感じさせるものがある。
 田口「なんかアンサーソングとかありそうだなって」
 

■制作過程

・shinoさんは公募による参加。
リツイートで今回のプロジェクトを知って、速攻で応募した。
 shinoさん「これは速攻送らなきゃ!って」
 途中で「100曲以上(応募曲を)聴いている」と田口さんがツイートしているのを見た時は、余りの多さにほぼ諦めていた。
・最初は「明るめポップ」でオーダーしたが、最終的にはむしろ「切なポップ」になった。
・制作にあたり、田口さんのアルバム「COSMOS CITY」の曲を何度も聴いた。それを聴きながら「自分が田口さんに歌って欲しい曲」と考えていたら自然とこういう形になった。
・shinoさんは転調大好き。その転調サビこそ盛り上がりの頂点だと思うので、そこが一番気持ちよく歌えるようにキー調整。
・なかなか人間に歌ってもらう曲を作ったことがないので、音域についてはshinoさんも試行錯誤した。
 shinoさん「すごく難しいことをさせてしまったと思うんですが、カッコよく歌って頂いて…」
 

■shinoさんのこと

・3年ほど前からボカロPとして活動していて、普段は初音ミクを使った楽曲をメインに投稿。
・田口さんはshinoさんに直接お会いしたことは無い。でもツイキャスに田口さんが一方的にお邪魔したりして、声から心が澄んでいそうな雰囲気を感じている。
 (shinoさんは)他のリスナーさんともお会いしたことはないが、そこまでミステリアスにするつもりはない。
 水彩画Pさん「shinoさんあれですよ、ヘッドフォンつけてくるのかなって思いますよ」
・まだ学生で若い方なので、書くリリックにピュアさと清涼感がある。
・最近は「歌ってみた」の活動も行っている。本家の良さを生かしつつ、アレンジをどう入れていくかという面白さがある。Eyeさんに誘われて作ったコラボで、ドカンとハモるような部分は原曲を聴きつつ自分らしさが最高に出せる。
・高校の軽音部でバンドをやっていたが、ミックスに触れたのはボカロPを始めてから。
・世の中とボカロ界の音楽シーンの流行が少しずつ連動している印象はある、とshinoさん。ボカロのセルフカバーも流行っているが、自分はあくまでもボカロをメインにやっていくつもり。
・これから活動する方にメッセージを送るとしたら、「自分らしさ」を見つけた人が生き残る世界なので、そこが一番大事だと思う。
 shinoさん「僕は未だにそこで迷ってるんですけど…」
・他の楽曲で気になった曲は平田義久さんの「stay with me」
 shinoさん「今回のアルバムのコンセプトはボカロPとのコラボなので、コンセプトが際立つ一曲だと思った」
 

■shinoさんのオススメ楽曲

▼バケモノの唄

 
アルストロメリア

 
▼匿名希望


■「Miss you」における田口さんのパフォーマンス

・スタンドマイクを使ったパフォーマンスが印象的でしたね。ジュウゴノシンゾウLIVEでもダイヤモンドフェスでもそうだったので、彼にとってそういう魅せ方のイメージなのかな。でもそのスタイルでも全身で歌っている感じがして好き。
・曲順で言うと「DIDA DIDA DIDA」の後に来る「サタデーナイトクルージング」と「Miss you」は、どちらかというと「聴かせる曲」という印象が強いので、盛り上がりの間の浸れる間という感じがする。
・音域が広いので生歌はAメロが一番難しそうに見えた。でも自分の声域で一番いい部分をサビに持ってきてるのはすごく伝わってきて、声の伸び方が気持ちよかった。
 

■総括

田口さんの仰る通り、私の感覚値でも「好きな曲」「気になった曲」として田口ファン勢から特に名前の挙がってた楽曲だと思います。
メロディーも覚えやすいし、歌詞もストレートで分かりやすい。それに、田口さんと「切なポップ」って意外に相性良いんだよなあ。
「田口さんに歌ってほしい曲」として作ってくださったという素直なshinoさんの思いが何より嬉しいです。
 
「Miss you:貴方がいなくて寂しい」という訳通りこれは別れの曲ですね。
モノクロの夜景をバックに佇んでいる青年、逆光であんまり見えないけどよく見ると涙を浮かべた表情になっています。
変わらないこの街も空も人も僕らを置いて」の部分には、MVの背景の夜景が表すような広い世界を感じさせました。
今ここで自分が涙を浮かべながら相手を想っていることも、この無数の窓の光から成り立った夜景から見るとほんの一欠片の部分でしかないというか…「自分が悲劇に陥っている間も当たり前のように世界は進む」ということを物語っているような感覚でした。
「人生はクローズアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見ると喜劇だ」という名言がありますが、この主人公は正にクローズアップで見た時の悲劇の象徴なんだろうなあと。
 
田口さんが「なんかアンサーソングとかありそう」って感想を述べてましたが、私はこの曲を聴いて「雨の日だけ人間になれるカエルさん」を思い出したんですよねー!音域の広さといい切なポップってジャンルといい(分かる人にしか分からない内容)
これはきっと初めから決まっていた」とか「ラクタ仕掛けの恋」とかね…。
君の涙がふと目に焼き付いてしまった」は、あの曲のMVで静かに泣いていた彼女を思い出します。
最後に、雨が止んで彼はいつものカエルの姿に戻るのですが、「僕じゃ幸せにできない」という思いは喋れないながらも感じてたんじゃないかな。
 
そんなわけで久々にRaindropsを聴いてしまったわけですが(言っちゃったよ)
「ここにいるのに通り過ぎてく、何も言わずに」と「二度と触れないのに」と言っていたのは同一人物のように感じてしまいました。
いや、歌っている人間は間違いなく同一人物なんですが。
この場合どっちが「アンサーソング」と言えるのか、時系列が整理しにくいところではありますが、「叶わない恋」であることは両者に共通していて、それも叶わない理由が理由なので余計に切なさが際立ってしまいます。
 
制作者のshinoさんが聴かれたのはCOSMOS CITYとのことですが、そことは違う別のアルバムの曲とのストーリーの連動性と、言い表しようのない切なさと深い愛情を感じた、不思議な曲でした。