今日という日は残りの人生の最初の日

人生を充実させるコツは、より多くのものを好きになること。

慣性と惰性 ―『慣性スケーター』を聴いた感想

お久しぶりです。

ここ数日職場でトラブル発生(内容は自業自得)につき全く書けず…
いい加減書き方を忘れそうでしたがやっと収束に向かってきたのでいつもの如く酔いながら書いてます。
お時間のある方はお読みください。
 

慣性スケーター feat.シシド

▼Lyric&Music:シシド様

Movie葉月ひよこ様
Vocal(ボカロ版):flower
 
VOCALOID Ver.


▼田口さん歌唱Ver.


▼アルバムに参加した感想は?ボカロPアンケート!

 
▼”TA”Good Night LIVE vol.8 -慣性スケーター-

 
 

■田口さんによるレビュー

・イントロのギターがカッコいい。シシドさんの「真夜中狂騒曲」が田口さんには刺さった。このギターの音色と残響感は絶対に入れてほしいとオーダーした。
・サビに入る前のキメの部分、歌う時のリズムの取り方は今までの自分の曲にはなかった雰囲気。「クールさ」を意識したダンスミュージックを今までずっとやっていたが、今回のバンドサウンド調の楽曲は「声に想いをぶつけるような歌い方」が活きるジャンル。
 田口「今後はこういうバンドスタイルの楽曲も増えていったら嬉しいなって」
・「肩肘張らずに自分のままで生きてればいいんじゃないの」というメッセージが込められたリリック。そのメッセージは自分の今までの生き方にもリンクした部分があったと思う。(詳細は総括に記載)
・憧れや嫉妬に駆られる中でも、自分自身のペースで歩いていくのがいいんじゃないかと解釈した。
・MVが可愛い。女の子がワイルドな座り方をしている絵とスケートボードが特徴的。
 

■制作過程

・シシドさんは公募による参加。
・田口さんがオーダーした通り、イントロからギターのパワーを感じる楽曲に仕上げてくださった。
・歌詞に込めた想いを簡単に言うと、「肩肘張らずにいれたらいいなと思って」書いた曲。皆さんそれぞれ感じたままに聴いてもらえると嬉しい。
・普段一人で完結していたものが、人に歌っていただいて完成するのは初めての経験というシシドさん。また、15人集まって一緒に作る作品と言うのは非常に刺激を受けることができた。
 シシドさん「今回はありがとうございました、またお力になれると嬉しいです」(本当にお力になってくださるとは)
 

■シシドさんのこと

・シシドさんの楽曲は部屋の中でビャァァンと響くような、残響感のあるギターが特徴。アーティストさんで言うとルナシーさんに近い。
・他の楽曲で気になった曲はノイさんの「フライアウト」
 シシドさん「爽やかなギターサウンドとノリの良いビートが印象的でした」
・ノイさんとはお互いにギターを弾くもの同士惹かれ合うものがあるのかもしれない、と田口さん。(実際Twitterでも何度かギターについて会話しているのを見てほっこりしました)
・秋頃にアルバムリリースを目指して現在制作中。
 

■シシドさんのオススメ楽曲

▼真夜中狂騒曲

 
▼劣性ポップ

 
▼イマジナリィ

 

■「慣性スケーター」における田口さんのパフォーマンス

・なんといってもジュウゴノシンゾウLIVEでのシシドさんとの共演でしょう。バンドメンバーが紹介されたときはその錚々たるメンバーに感動した覚えがあります。
・水彩画Pさんが登場する前までのギター担当として出演してくださいました。その後水彩画Pさんが加わった後もニライカナイで楽しそうにお二人で向かい合って弾いてる図が良かったですね。
・ロック調の曲なので音サウンドに重きを置いたバンドスタイルでのパフォーマンスが特徴。6月の月イチLIVEでも歌ってましたがやっぱりバンドメンバーが揃っていた方が迫力がレべチです。
・実際にお姿を拝見した者としての感想は、ギタースキルの非常に高いウサギさんでした。
・曲を披露した後にシシドさんのコメントあり。
 シシドさん「バンドで演奏して、改めて曲として完成した感じが新鮮で楽しかったです」
 

■総括

田口さんが得意とした身体での表現より、声と言葉での表現が印象的な楽曲でしたね。
ジュウゴノシンゾウにはロック調の曲が何曲か織り交ぜられていますが、「慣性スケーター」は特にリアルなメッセージ性を感じるものでした。
そもそも「慣性スケーター」っていう曲名がもう唯一無二で、他にいくら探してもこんな曲名はないであろうというインパクトでした。
シシドさんの他の楽曲には「劣性」とか「慢性」とか、『性質』に関するワードが良い具合に散りばめられていて実に興味深い。
ちなみに今回の「慣性スケーター」は、タイトルには『慣性』、歌詞の中には『惰性』という言葉が入っています。
うーん、何となくの意味は分かるんだけど説明しろと言われるとちょっと難しい言葉ですな。
でも、タイトルと歌詞で違う言葉を使用しているということは、制作者であるシシドさんの中で、この二つは意味の異なるものとして捉えられているのは明らかであるように思います。
ちょっと面白そうなので、慣性と惰性の違いについてネットで色々検索してみました。
 
 
「惰性」も「慣性」も、同じ状態や動きを続けていくという意味では、同じ意味を持つ言葉だと言えます。しかし、「惰性」の場合は、人間の行動に対して使われるケースが多く、またやる気やモチベーションなどの感情の有無について表現するニュアンスも含まれています。一方で、「慣性」の場合は、人間の言動や感情よりも、あくまでも物質の動きや状態を意味するニュアンスが強いと考えられます。
 
「惰性」の類語【1】:だらだらと
「惰性」の類語【2】:漫然と
「惰性」の類語【3】:習慣
 

慣性とは、物体が外的な力を加えられない限り、同じ運動を続けようとする状態のことである。電車が発進した時に、体が後ろに引っ張られるように動いてしまうのは、今までいた場所に居続けようという慣性が働いているからである。逆に電車が停車した時に、体が前に引っ張られるように動いてしまうのは、今まで前方方向に動いていた運動を続けようとする、同じく慣性が働いているからである。
惰性とは、今までの動きや行動を、行い続けることである。その為「慣性」と同じように使われることもあるが、「慣性」よりも感覚的なものである。また、動き続けようとする「慣性」を「惰性」と表現することはあるが、停止し続けようとする「慣性」のことを「惰性」とはいわない。
 

 

 

……ちょっと何言ってるかよく分からない。
でも自分なりの解釈で言うと、「慣性」はブレない部分はありつつも外的要因によっては柔軟に動きを変えることがあり得るもので、対して「惰性」は「変えようとしない意識」が無駄に働いているような印象がありますかね。物質の動きのニュアンスが強い慣性より、惰性は人間の感情が多く含まれている言葉だと思います。性格でいうと頑固な人。
 
そして、その「頑固な人」に当てはまる田口さんが、タグラブで歌詞の解釈について随分と深く語っていらっしゃいました。
基本的に明るくて浮世離れした彼が、ここまでリアルな感情を吐き出すのって相当レアです。(と私は断言できる)
以下、印象に残った田口さんの言葉。
 
 
・『こうでなきゃ駄目だ』とか『こうあるべきだ』という変なこだわりや完璧主義がある。
 でもそれってあんまり良くないな、と最近考え方に若干変化ができた。
・割と何でも自分の定規で測ってしまう自分の性格に『それって押し付けだよな』と思い、改めようと思った。
 気づいて間もないので、今まで34年生きてきてその性格がどう治るかは分からない。
・すごいスケジュールを詰め込んじゃったりとか、忙しくしたいのか分からないけどそういう癖がある。
・そんな無駄なこだわりを削ぎ落していったら少しは楽になるのかな、と思う。
・遅刻や納期の遅れは基本的に好きじゃないからミスしたくない。
 でもしっかり準備したつもりでもミスは起きる。そういう時に10分ぐらい悶々と考える。だけどその時間あれば他に何かできたと思う。

 

つい最近シャレにならないミスを起こしてしまった自分には刺さりすぎて痛いぐらいのトークでしたね…
ミスを起こしやすい人って注意力散漫とかだらしがないみたいに思われがちですが、逆に真面目過ぎるが故に、無駄に考えすぎて細部に漏れがあるようなパターンが意外と多いです。
失敗しないのが一番良いんでしょうけど、一度転んで傷を負った人はその傷を知恵に変えることができる。(と、今回ミスをして謝罪した私に上司は言った)
この曲が言うところの×(バッテン)というのはそんな失敗による傷を指すものでしょうか。
 
彼みたいな仕事をしてたら、「こだわりが強い」というのは決して悪いことじゃないです。そのこだわりが音楽性や個性に繋がるわけだし、寧ろそれをいち早く見つけた人だけが生き残れる場所です。
でも、その自分のルールに雁字搦めにされてしんどくなって、潰れてしまうようじゃ世話ないですよね。
上記で拾った言葉から読み取ると彼は相当なストイックなので、「惰性」なんて言葉とはあんまり紐づかないように思いますが、その性格を34年間全く変えずに生きてきたのはある意味「惰性」なのかもしれないなと。
 
しかし何らかの外的要因により、今までの運動を変えようとする「慣性」が働いたことも分かります。
その要因が何なのかは定かではありませんが、個人的にはその慣性に従って良いのではないかなと強く思いました。
ぐうたらな人がストイックになるのは難しいけど、ストイックな人がぐうたらになるのはもっと難しい。
でも一度勇気を出してぐうたらになってみて欲しいです。世界が変わるぞ、ガチで。
 
飽くまで軸足はブレずに、でも自分が辛くなるほどの肩肘は張らずに、柔軟に。
多分、そう最初は上手くいかないと思う。けど、そういう時は遠くの方でも見ながら、あまり考えずに流れに身を任せたら良いんじゃないかな。
そんな安定感と不安定感を感じた、スピード感のある楽曲でした。