今日という日は残りの人生の最初の日

人生を充実させるコツは、より多くのものを好きになること。

無色透明、または虹色 ―『What Color』を聴いた感想

リリースからもう3ヵ月が経とうとしていますが、ここに来てジュウゴノシンゾウのレビューを…とふと思い立ちました。

とても一つの記事に全曲分は収まりきらないので、アルバム順に1曲ずつ対談やタグラブの内容も含んで色々書きたいと思います。
気になった方は軽ーくお読みいただけると幸いです。
 

■What Color  feat.オゾン

▼Music&Lyric:オゾン様

・Illust:れいろう様
・Guitar:ヤヅキ様 
・Vocal(ボカロ版):flower
 
VOCALOID Ver.


▼田口さん歌唱Ver.

 

▼ボカロP対談(SPACELECTRO × オゾン × 田口淳之介

 

 

▼”TA”Good Night LIVE vol.1 -What Color-


■田口さんによるレビュー

・一曲目に相応しい楽曲!と真っ先に思った。
・聴きどころはドロップ。AメロBメロが来て最後に一番印象的な部分が来る、いわゆる音サビ。実際生で聴いてみたら自然と体が踊りだすような曲だと思う。
・「僕が僕であることの意味」という自問自答、人生のテーマを「色」という言葉で前向きに表現している曲。
・ギターはヤヅキさんというボカロPさん。イントロから心に響くようなギターの音が気に入っている。
・僕の色は何色なんだろうという歌詞には自分自身にも思うところがあった。これだけたくさんの芸能人がいる中で「僕の色はどう出したらいいんだろう」と思うこともあり、それを見つけるのは結構大変だという想いがこのリリックに反映されている。
・ボカロ版の方はよりボカロPさんの思いがダイレクトに伝わる。
 

■制作過程

・ボカロPが楽曲を発表して、歌い手の方が歌ったり踊り手の方が踊ったりする「広がり」に可能性を感じたことから、ボカロ側と田口さん側の双方向での制作にしたかったと、田口さんよりジュウゴノシンゾウの趣旨について説明あり。
・オゾンさんは公募での参加。オゾンさんが主に制作しているEDMというジャンルで、彼独自の世界観での作曲を田口さんよりオーダー。
 オゾンさん「本当に驚いちゃって…一回スマホを落としちゃってw」
・最初に田口さんのアルバムやYoutubeのMVのダンスを見て自分のEDMと合わせたら面白いんじゃないかと思った。
(オゾンさんが)応募の時点で構成やスタイル、具体的なビジョンを書いてくれていたのを見て、自分のことを考えてくれていると思った。
・制作にあたって実際にお会いした時は「可愛いなー」と思ったという田口さん。
・オゾンさんは最初はダークな雰囲気のフューチャーバウンスをやろうと思った。でも、田口さんとの打合せを重ねていく上で「上手くは生きられない」という楽曲の名前が何度か出てきて、「すごく気に入ってくださっているのかな…」と感じた。楽曲「上手くは生きられない」はエモい感じの楽曲なので曲調をそこに寄せようとした。
・打合せの中で「個性を出したい」という印象のお話を田口さんがしていたため、個性を「色」に例え、自分の色を解いて直向きに努力する少年のイメージの歌詞を書いた。
・デモ段階の歌詞では何度も打合せを重ね、悩み、田口さんからの意見を反映させている部分もあり思い入れのある歌詞となった。
・1番と2番のドロップは変えてほしい、2番は一旦くぐってからビルドアップしていくような内容で…と田口さんからのディレクションあり。
・「僕の色は何?」というフレーズは思いを込めて歌った。
 

■オゾンさんのこと

・作詞・作曲・最近はDJとしても東京で活動。作るジャンルはEDMが多いが伝えたい内容によってロックやポップスも作る。主に使うボカロはflowerと初音ミク
・初期はロックスタイルが割と多かった、ギターが弾けないながらも他のボカロPさんにもお手伝い頂いてロックも作っていた。楽器が弾けない自分でもできるEDMの方にシフトしていった。
 田口「作品を聴く中でオゾンさんの歩いてきた道が分かるのが面白い!」
・最近聞いているアーティストはMESTOさんやMertin Garricさん。日本の楽曲とはサウンドの出方も作り方が全く違うので参考にしている。
・対談はオゾンさんからのご指名でSPACELECTROさんとご一緒。
 田口「オゾンさんが『レクトロさんいてくれたら凄く話しやすいです…』ということだったんで…ちゃんと話してくださいよw」
・SPACELECTROさんのボカロEDMのコンピレーションにオゾンさんが曲を出したところからお二人の繋がりができる。オゾンさんがSPACELECTROさんについてTwitterで呟いていたのをご本人が見たところからオファーを出したとのこと。
・DJとして初めてのステージは名古屋。緊張して震えてしまったがお客さんの嬉しそうな反応を見て少しホッとした。
・オゾンさんは凄く優しい方。田口さんの第一印象は「ムーミン」(笑)
 田口「ボカロPの人たちって妖精なんですよ!!」(何という名言)
 ボカロPさんという人たちは表に自ら出てこないけど自己表現というものを人知れずしているのが魅力的。
・オゾンさんが他の楽曲で気になった曲はR Sound Designさんの「サタデーナイトクルージング」。
 オゾンさん「オシャレなバックサウンドと田口さんの優しい歌声がお二人の良いトコどりって感じ」
 

■オゾンさんのオススメ楽曲

▼GEKKA

 
▼上手くは生きられない

 

■「What Color」における田口さんのパフォーマンス

・ジュウゴノシンゾウのLIVEでは、アルバム順のセトリで行ったため一番期待値の高い幕開けとして披露。
・ドロップの部分はもちろんダンス付き。ライブ前には日々ダンスの仕込みをしていたそうですが、この曲の振付も彼かな?ステップの音ハメに定評のある田口さんならではの軽快かつ鬼のように難易度高いステップが映える。
・歌詞の所々で出てくる「僕」という一人称の部分で胸に手をやるような振付が印象的。
・「What Color」の囁き部分で暗転し、そこから強いライティングで照らし出されるような演出が多く盛り込まれている。
・彼の配信ライブでは6月と8月、ジュウゴノシンゾウライブ、外部のDIAMONDフェスでも披露された楽曲。やっぱり前向きさを感じるパフォーマンスとしては彼の中でも最高の自信作なんだと思う。
・DIAMONDフェスの白スーツでの披露は、模索し続けた少年が成長し、大人になったようなまた異なる雰囲気を感じさせた。
 

■総括

僕の色は何?」というありそうでないテーマ。ご本人や他のボカロPさんも言う通り、正に1曲目に相応しい力強い楽曲でした。
しかしながらMVの絵の少年からは繊細さや気弱さ、迷いみたいなものも見え、田口さんの歌声もどこか少年らしい(良い意味での)不安定さや危うさみたいなものを感じたかな。
恥ずかしながらタグラブをリアタイしていなかったのでチャット内容が把握できないまま終わってしまったのですが、対談の方ではチャットの内容も楽しく見させていただきました。
お二人に共通する「EDM」というジャンルを深く掘り下げていた対談の中、チャットの中でなかなか話についていけない田口ファン勢。
 
田口ファン「EDMがよく分からない…」
田口「Electric Dance Musicの略だよ!」
 
田口さんはまだまだ「アイドル」としての経歴の方が長い方ですが、アイドルのファンというのは特殊なもので、「好きで好きで堪らない楽曲を歌っているのがたまたまその人だから聴いている」というよりは「好きで好きで堪らない人が歌っているのがたまたまその楽曲だから聴いている」人が多いんじゃないかと…(上手く言えない)
だから「音楽」についての玄人同士の話題に着いていけないような場面は電波工作のときから時々見受けられるのですが、その感覚が私個人としてはちょっと面白かったり。
 
今回の楽曲の歌詞の最たるところとしては「僕の色は何?」というところですね。
色…色かあ。楽曲のチャットでも彼の色についてのコメントが色々とありました。
彼のグループ時代のイメージカラーは「オレンジ」。そして、ソロに転向してからの色と言えばやはり会員証のカラーでもある「青」というイメージの方が多いでしょうか。
でもこれらの色、私個人としてはどっちもあんまりしっくり来たことが無いんです。
彼が以前舞台で演じたフォレスト・ガンプ。その舞台の監督であるG2さんの記事の中に、こんな言葉があるのを思い出しました。
 
「頭で理解できないものを突き付けられたとき、うじうじ悩むか、強がってしまうのに、彼にはそれがない。
 いい意味で、計算がなく、農村にいるような素朴さを感じさせる人なんですよね。そこがフォレストと重なるんです。
 原作を読んだとき、常識に囚われすぎて、がんじがらめになってしまった現代人の窮屈さをやゆしているように感じたんですね。
 それを証明するために、フォレストという存在を証明させたんじゃないか、と。
 色でいえば、あらゆる色をもった虹色か、もしくは無色透明。
 それを演じるには難しいんですよ。でも、田口君のキャラならそれが実現できるわけです。」

これを聴いた時は「それだぁぁぁ!!」と、目から鱗が落ちるような気持ちでした。

(この記事見つけるの相当苦労した、残っててよかった)
えっと、こんな所でこんなことを言うのはどうかと思うんですが、私は昔からおそらく「共感覚」という妙な感覚があります。
 
 共感覚―ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる一部の人に見られる特殊な知覚現象をいう。
 例えば、共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、味や匂いに、色を感じたりする。
 Wikipediaより抜粋)

昔から「え?文字には基本色ついてるだろ?」と思っていた私はどこかおかしいと少し前まで真剣に悩んでいましたが、一応正式にそういう感覚には名前があるみたいです。

良かった…。口に出して説明するには難しい感覚だけどそういう人も世の中にはたくさんいるんだね。
 
そんな私は人の見た目や声にも色を感じることが多々あるんですが、(視えるというよりは感じる)
所謂J事務所のグループには必ずある「イメージカラー」にしっくりくる人物には一人も合ったことが無いんだな!
KAT-TUNでいえばKさんは青に近い紫色を感じるし、Aさんにはオレンジと黄色の中間の黄金色みたいなものを感じる。(同じ共感覚持ちでも感覚は人それぞれだそうです)
そして肝心の田口さんには、実は最初に見た時から何の色も感じることができませんでした。
決して何のオーラも感じないわけじゃないんだけど、「何色ですか?」と言われると明確に答えられない。確かに何かあるのは感じるんだけど、靄と言うかフォーカスがかかっているみたいというか…
その不可思議な感じが彼に興味をもったきっかけの一つでもあったりします。
 
そのため上記のG2さんの記事を見た時、「それだ、それ以外ない」と思わずにはいられなかったな。
「常識を打ち破る色」とでも言ったらいいんでしょうか。身近にあるもので一番近いものはシャボン玉…だと思う。
 
今回のプロジェクトは新しい試みという意味では彼の持つ「無色透明」と「虹色」の要素がとても生きていて、更にそのきっかけともなった平田義久さんがMVの中に「フォレスト・ガンプ」の一説を出しているというのは素敵な偶然ですね。(ここはまた後の記事でも触れたい)
 
無限の可能性が全面に押し出されているこの曲、正にジュウゴノシンゾウのストーリーの一曲目に相応しい楽曲です!